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竹内研究室 研究紹介

当研究室は、マイクロ・ナノデバイス技術を異分野に応用することで、 新しい研究分野や産業を創出することを目指しています。機械、電気、情報、生物、化学、材料など様々な分野をバックグランドとする研究者が世界から集まり、マイクロ・ナノレベルの加工を中心に“ゼロからのモノづくり”を通して、生命科学や環境、情報通信の世界にブレークスルーをもたらそうと日々切磋琢磨しています。研究室は、大学院情報理工学系研究科と大学院総合文化研究科の2つに所属しています。情報理工学系研究科からは、機械・情報・電気など工学をバックグランドにした学生が、総合文化研究科からは、物理・化学・生命科学など理学を専攻する学生が来ています。工学や理学に加え、創薬・医学・環境など、いろいろな分野を学び、それらの知見をゴチャ混ぜして、新しいものを創る研究に興味のあるメンバーの集まりです。

研究概要

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は主に、半導体の電気回路を作る技術を応用して製作された微細なアクチュエータやセンサによって構成されるシステムとして発展してきました。身近なモノでは、TVゲーム機のコントローラに使われている加速度センサや、インクジェットプリンタのヘッド、手のひらサイズのプロジェクタの中核を担う光ミラーデバイスなどに応用され,MEMS産業は1兆円市場に成長しているといわれています。最近では、このようなマイクロデバイスを作る技術を利用してバイオや化学実験を行なう研究が注目を集めています。このようなデバイスはマイクロ流体デバイスと呼ばれています。低レイノルズ数の世界で液体をハンドリングするため、制御性、再現性に優れた実験が可能になるのが特長です。マイクロ流体デバイスを利用すれば、微小流路や穴、チャンバなどを利用して再現性よく定量的な実験が可能となります。これまで試験管で実験をしていたものが、単に微小化するだけで、薬品の節約になるばかりでなく、体積に対して表面積の割合が多くなるので、化学反応が高速に進むことが分かります。また小さな容器を用いれば、大きな濃度変化を検出できるので、たとえば、フェムトリットルオーダの小さな試験管を作れれば一分子の挙動が見えるようになってきました。またミクロンオーダの細い流路を使えば、様々な薬剤を使った実験を少量で効率的に行なえることが分かってきました。

当研究室では、MEMSやマイクロ流体デバイス技術を駆使して、DNAやタンパク質、脂質、細胞などの生体材料をデバイス中に適切に組み込み、生体情報や環境情報を計測する新規手法を研究しています。
 これまでの具体的な成果として、微小な液滴や流れの特性を利用して、人工的に細胞膜構造(脂質2重膜構造)を複数同時に形成することに世界で初めて成功しました(Anal. Chem. 2006他)。この方法を利用して、脂質膜中の生体分子の活性変化を複数同時に電気計測し、これまで解明が難しかった膜タンパク質の機能解析法や膜タンパク質を利用した匂いセンサの確立しました(PNAS 2010, Anal. Chem. 2008他)。さらに、人工脂質2重平面膜の中心部にジェット水流を当て、膜を球面状に変形させることで、生体分子などを脂質膜で効率的にカプセル化する手法を開発しました(Angew. Chem. Int. Ed. 2009, JACS 2007他)。加えて、これらのカプセルを1万個レベルで高速にアレイ化し、解析できるダイナミックマイクロアレイ技術を考案しました(PNAS 2007)。また、細胞をビーズとして扱い再生医療に欠かせない細胞の高密度三次元へテロ組織構造を構築する方法を研究しています(Advanced Materials 2011他)。さらに、マイクロビーズを加工する方法を応用して、血糖値に応答して光の強度を変えるハイドロゲルビーズを世界で初めて実現し、4ヶ月以上長期完全体内埋め込み可能な血糖値センサを実現しました(PNAS 2010, PNAS in press)。
 現在、これらの成果をさらに発展させるため、JST-ERATO竹内バイオ融合プロジェクト研究総括や経産省の異分野融合プロジェクト(BEANSプロジェクト)、神奈川科学技術アカデミーの創造展開プロジェクトである竹内バイオマイクロシステムプロジェクトを展開しています。

研究室紹介として参考になる記事にリンクを張りました。詳細はPress Release新聞等またはTVニュース等雑誌等をご覧下さい。